いちばん大事なタカラモノ


EMTGライブレポ2日目(伊藤亜希さん)

2日目は伊藤亜希さん。
転載させていただきます。

*******************************************

その日も、東京は晴れていた。
 およそ1週間前、気象庁は関東地方の梅雨入りを宣言。しかし、宣言当日以来、東京の空は青かった。暑かった。

 2013年6月2日。日曜日。正午前。新宿駅。目の前でカラフルなTシャツが行き来している。親子連れだ。
 父親は黒、母親は紺。小学生低学年くらいの長男は白。そしてもう少し小さい次男は黄色。父親と長男は、お揃いのビニールバックを斜め掛けしている。
 4人が背負った同じ文字――FUNKY MONKEY BABYSという文字が、人ごみに消えた。

 正午過ぎ。東京ドーム前には、ここにもまたお揃いのTシャツを着たたくさんの人々の姿があった。
 同じ頃。ファンキー加藤、モン吉、DJケミカルが、会場入りした。楽屋のすぐ近くにある、東京ドームの回転扉が回る。
「おはようございます」と、挨拶したのはファンキー加藤。DJケミカルは「うっすー」と笑顔。小走りで入ってきたモン吉は「よろしくおねがいしまーす」と言いながら、廊下を走り抜けて行った。ライヴに向けて集中しているのか、3人とも、言葉も少なめだ。 シーンとした廊下。メンバー楽屋からは、時折、笑い声も聞こえてくる。その笑い声を聞きながら、BABYSたちの寄せ書きに目を走らせた。最年少は7歳。平仮名で「もんちゃん、だいすき」と書かれている。最年長は65歳。毛筆タッチの達筆で「娘の影響でファンになりました。娘が辛い時に、いつもファンモンの歌を聴いてました。おかげで娘も元気になりました」と書かれてあった。様々な思いが、カラフルに布を埋めていた。

 13時20分。メンバーがステージへ向かう。スタッフの「調子はどうですか?」という言葉に「体が痛いです。でも調子はいいです(笑)」と答えるモン吉。他の2人もスタッフに軽く会釈をしながら、目の前を通り過ぎた。

 13時30分。ファンキー加藤のマイクチェック。ドープなノリでラップしながら、ステージを右から左へ。DJケミカルは、ターンテーブルでスクラッチをして感触を確かめている。モン吉は、ぐるんぐるんと両手を振りながらストレッチ。マイクチェックでは「よろしくお願いしまーす」と元気に挨拶した後、緩急、低音高音のバリエーションをつけながらチェック。その後、DJケミカルは大声で「やっほー!」と叫んでいた。

 14時10分。リハーサルは終了。1人、ステージに残るファンキー加藤。マイクを通し笑顔で挨拶。
「スタッフの皆さん、最終日、よろしくお願いします」
 ステージ中央、左右に設置された巨大なビジョンに、加藤の顔がアップになる。ニヤリと笑い、こう続けた。
「ちょっと皆さん、もうちょっとレスポンスくださいよ〜!(笑)こんな(ムードの)解散ライヴ、無いですよー?(笑)よろしくお願いしまーす!」
 そこにいたスタッフ全員が、大声をあげた。
「よろしくおねがいしまーす!」
 その後、自然に拍手が起こった。

 ふと気がつけば、ファンキー加藤が、ステージ中央に座り、じっとドームを見上げている。その瞳には、まだ空っぽの東京ドームの客席が映っていた。その表情は、一言で言えば満ちたりた笑顔。しかしその笑顔が、パッと険しい顔に変わった瞬間があった。その顔は、ひとことで言えば、THE戦闘態勢。これからのライヴに向け、自分自身でスイッチを入れた瞬間だった。

 17時。超満員の東京ドーム。17時07分。最後のチャイムが鳴る。準備体操&ファンモンエクササイズへ。クレーン・カメラが客席を写し、一体感を誘っていくのは、ファンモンのライヴならではの演出。そこにいる全員が、今日の主役であることを、大きなビジョンが、5万人に告げていく。

 17時20分。暗転。大歓声。オープニング映像が映し出される。撮影に述べ4日かかったという超大作は、DJケミカルが寝坊し、急いで東京ドームに向かうというストーリー。途中、間違って八王子球場に行ったり、爆笑のディテールが随所に織り込まれた仕上がり。テンポ感も良く、笑いとスリルを兼ね備えた映像であった。

 東京ドームの廊下を走るDJケミカル。その映像がリアルに切り替わると、アリーナ後方に、DJケミカルの姿があった。パジャマを脱ぎ捨て、東京ドームを半周ほど駆けながら、ステージに上がるDJケミカル。これまで、東京ドームで様々なアーティストのライヴを拝見してきたが、自分の足で走ったアーティストを見たのは、このファイナルライヴが初めてだった。もう、それだけで、爆笑。本当、ファンモン、最後までやってくれるわと、大興奮。
 息もぜえぜえのDJケミカルが叫んだ。「ぜえ、ぜえ……(会場、爆笑)。準備はいいか! 東京ドーム!」
 来い、来い、とジェスチャーするDJケミカル。息を吸い込んで、雄叫びをあげた。「すべてを捨てて楽しめー! 八王子のFUNKY MONKEY BABYSだあああああ!」

 ドーンと放たれる大音量のトラック。音の大洪水の中、浮かび上がるようにステージに現われたのは、ファンキー加藤とモン吉。ファイナルライヴの1曲目を飾ったのは「WE ARE FUNKY MONKEY BABYS」だった。このファイナルライヴは、BABYSのためにあるんだという意志が、1曲目から、はっきりと浮かび上がっていたように思う。

「WE ARE FUNKY MONKEY BABYS」で幕を上げたこの日のライヴ。序盤は「アワービート」「恋の片道切符」など、アップチューンを中心としながら、その幅でカラフルに彩った。6曲目「明日へ」では一転、バラード。濃いブルーの中、ステージ上空からの3本のピンスポットが、3人を包む。拍手と歌声が、重なりながら東京ドームに響いていく。
6曲目「明日へ」では一転、バラード。濃いブルーの中、ステージ上空からの3本のピンスポットが、3人を包む。拍手と歌声が、重なりながら東京ドームに響いていく。
 カラフルに彩られたステージ上。DJケミカルは、リズムに合わせてクラップし、モン吉はスキップをするようにステージを横断していく。ステージ中央では、ファンキー加藤が、体を折り曲げ、筋肉をフル稼働して挑むように絶叫している。目の前にある事実。それこそが、彼らの真実であることを、この日も、彼らは体のすべてを使って体現していた。そして、真実を受け入れ続けるには、強い精神力が必要なこと、どれだけ苦しくてもひたすら前を向いて明日を見据えることを教えてくれたのもまた、3人のこの姿だったと思う。

 ライヴは序盤から中盤へ。モン吉とファンキー加藤はフロートに、DJケミカルは気球(!)に乗り、アリーナ後方へと移動。フロートを2台並べて作った即席のサブステージで披露したのは「告白」や「Lovin’ Life」など、聴かせるバラード4曲。3人の目の前には、アリーナ後方席の観客と、スタンド席の観客。目の前に3人が現れ、泣き出しているBABYSもちらほら。そんなすぐ目の前の観客に視線を向けながら、モン吉が、手を振りって1人1人に「ありがとう、ありがとね」と呟いている様子が、とても印象的だった。
 18時30分過ぎ。サブステージにいる3人。「大切」の大合唱が続いていた。誰もいないメインステージ上からは、オレンジの光。DJケミカルが乗ってきた気球が、サブステージの斜め上空に浮かんでいる。その半分は、メインステージからの照明で、オレンジ色の染まっていた。まるでドームに夕日が降りてきたようだった。
 その夕日のど真ん中には、DJケミカルの描いた3人のイラスト。3人とも夕日に向かって笑っていた。

 メインステージに戻り、3人でトーク。木の被り物で登場したケミカルの格好、そして前日エンディングで鼻血を出したモン吉(2日にはヤフーニュースのトップを飾りました!)のエピソードに触れたりと、リラックスしたムード。

 ファンキー加藤の煽りから、ライヴは後半戦へ。発動するエナジー。レッドゾーンをしめすテンション。はねる鼓動と重なるリズム。聴かせる曲も彼らの真骨頂なら、このお祭りを予感させるリズムも、彼らの真骨頂だ。3人が、一気にトップへギアチェンジした様子が、ビジョンに映る。「LIFE IS A PARTY」。ステージ前方に何度も炎が上がり「ガムシャラBOY」。「よっしゃ東京ドーム! 暴れるぜ!」と「メロディーライン」。ファンモン史上最高速の1曲の後は、バラード「涙」。アップチューンで解放されたまっさらな感情に、ビシッと染み入ってくる。素直になった心には、真っ直ぐな言葉が本当に深く染み入ることを、彼らは教えてくれたのだ。
 ファンキー加藤のMC。
「今日のライヴ、楽しくて、まだ全然、解散の実感がわきません(笑)。それぐらい、今日のライヴを楽しんでます。今日初めて言うことだけどと、2008年頃、(ファンモンを)終わりにしようと思ったこともありました。でもそれを救ってくれたのは、BABYSの笑顔でした。BABYSへの感謝の想いをなかなか言葉に出来なくて、僕らはミュージシャンだから歌にしました。僕たちからみんなへの感謝状です。聴いてください」
 この言葉を受けた「ありがとう」は最初から大合唱に。3人とも最後まで、本当に力の限り歌った。真っ直ぐ客席を見つめたその眼差しは、最後の最後まで、本当に真っ直ぐだった。
「まだまだ恩返しさせてください。皆さんの幸せを願わせてください」と「あとひとつ」。「お前に歌ってんだぞ!」と「サヨナラじゃない」。モン吉が「みんな!右手をあげてみてー!」と叫び、5万人の手拍子がばっちり揃った「ALWAYS」。
「奇跡を起こそうぜ、着いてこい5万人」とファンキー加藤が絶叫し「ちっぼけな勇気」。拍手が少しずつ歌声に変わり、最後には大合唱になった。最後、マイクを通さず「ありがとーー!」と叫んだ加藤。その声に、この日1番の拍手が起こった。
本編の最後は「悲しみなんて笑い飛ばせ!」。ステージ上には、タオルを持ったライヴ・クルーも登場。観客がタオルを頭上に投げ飛ばすタイミングでは、ステージ上に花火も上がった。
 何度も空中に放り投げられるマフラータオルの中には歴代のツアーグッズのタオル、FCライヴの限定タオルなども見えた。まるでファンモンの歴史が舞い上がっているように見えた。ファンキー加藤の言葉を借りるならば奇跡の軌跡が誇らしげに輝いているように見えた。

 アンコールも含め、全25曲。時刻は、間もなく21時になろうとしていた。
 25曲目「西日と影法師」が終わった瞬間、3人の顔がスクリーンに映し出される。記憶に焼き付けるように東京ドームを仰ぐDJケミカル。満面の笑顔のモン吉。その口元が、ありがとう、楽しかったと言葉を刻む。放心しているような表情を見せたのはファンキー加藤。しかしすぐ笑顔のなり、他の2人の元に歩を進め、ちょっと困った表情になっていたDJケミカルの肩をがっしりと抱きしめた。
 最後、3人はステージ中央へ。「お疲れ様」と握手。「楽しい10年だったね」と加藤。「楽しかったねー」とモン吉。「こんなところで(ライヴ)出来ると思ってなかったね」と再び加藤。その2人のやりとりを聞きながらDJケミカルは、うん、うん、うんと、頭をがくがくさせながら大きく頷いている。
「10年間、本当にありがとう。みんなで、俺たちの10年間にピリオドを打ってください」
 この言葉の後、彼はこう叫んだ。
「WE ARE!」
 5万人、否、全国のBABYSが、彼の言葉を次に紡いだ。
「……FUNKY MONKEY BABYS!」

 20時57分。ゆっくりと明るくなっていく東京ドーム。
BABYSのざわめきがフェードインしてくる。ほとんどのBABYSが、なかなか席を立とうとしない。否、立てないと言ったほうが正しいだろうか。
 笑顔でありがとうと叫んでいる人もいれば、抱き合って号泣している人もいる。子供を抱きかかえ「楽しかったね」と笑顔を見せる親子連れもたくさんいた。
 誰の元にも、日常が戻ってくる。その日常の中で、誰もがきっと、彼らのことを思い出す時が来るだろう。その瞬間が訪れた時、私たちはきっと、自分のことが少しだけ好きになるのでは無かろうか。そして、FUNKY MONKEY BABYSが好きで良かった、と。その時、彼らの歌が心の中で、またひとつ、大きくなってますように。

【取材・文:伊藤亜希】
[PR]
by kenmamaM | 2013-06-23 10:25 | FUNKY MONKEY BABYS

<< kenのテスト2回目      EMTGライブレポ >>

いちばん大事なkenのこと、そしてママの大好きなコト・ 大事にしたいコト ちなみにkenは17歳になりました。
by kenmamaM
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
カテゴリ
全体
ken
おでかけ
ひとりごと
ママのお仕事
写真
映画
BEGIN
風味堂
中 孝介
馬場俊英
かりゆし58
奄美大島’16.10月
森山直太朗
FUNKY MONKEY BABYS
沖縄音楽
LIVE♪
いいはなシーサー
音楽
沖縄
おいしいもの
お取り寄せ・テイクアウト
ママのてづくり
マンゴー
めざせフルマラソン
花粉症
家庭菜園
直島&瀬戸内国際芸術祭
夕日
沖縄旅行記'05.6月本島
沖縄旅行記'05.8月本島・座間味
沖縄旅行記'05.9月本島・渡嘉敷
沖縄旅行記'06.6月宮古・八重山
沖縄旅行記'06.12月本島
沖縄旅行記'07.1月本島
沖縄旅行記'07.6月本島
沖縄旅行記'07.8月本島・座間味
沖縄旅行記'07.12月NAHAマラソン
沖縄旅行記’08.6月本島
沖縄旅行記'08.8月久米島
沖縄旅行記'08.12月NAHAマラソン
沖縄旅行記'09.8月阿嘉・座間味
沖縄旅行記'09.12月NAHAマラソン
沖縄旅行記’10.8月宮古島
沖縄旅行記'10.12月NAHAマラソン
沖縄旅行記'11.8月西表・鳩間島
沖縄旅行記'11年10月本島弾丸
沖縄旅行記'11.12月NAHAマラソン
沖縄旅行記'12.12月那覇&粟国島
沖縄旅行記'13.2月本島キャンプ
沖縄旅行記'13.7月伊江・古宇利
北海道旅行記'12.8月
東京旅行記’13.4月
沖縄旅行記’13.12月本島
沖縄旅行記'14.12月NAHAマラソン
沖縄旅行記’15.8月宮古島・本島
沖縄旅行記'15.12月NAHAマラソン
MEC食
2017年8月石垣島&竹富島
以前の記事
フォロー中のブログ
リンク
検索
最新のトラックバック
venuspoor.co..
from venuspoor.com/..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
ビギン20周年記念 まだ..
from たまりんの気ままなPC日記
アブラとサトウのカタマリ。
from こまこ☆いったりきたり
魚づくし
from Lush Life
のりピーこと酒井法子 バ..
from のりピーこと酒井法子 バキバ..
GOEMON
from kurashikikomac..
宮古・伊良部旅行 2.伊..
from こまこ☆いったりきたり
洋食工房 パパの台所
from kurashikikomac..
その他のジャンル
ブログパーツ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧